意見の違いから夢の実現へ

絵本制作の舞台裏

今年、私は絵本『くつ下をクローゼットの下にいれないでね』を出版しました。
とてもやりがいのある経験でしたが、順風満帆だったとは言えません。編集者との意見が合わないことも多々ありました。それでも、お互いにプロフェッショナルかつ建設的な姿勢を保ち続け、時には妥協することも必要でした。

特に大変だったのは「言葉」の部分です。日本語が母語ではない私は、正しい表現を使えているのか常に不安でした。編集者から提案があると、心の中で納得できない時でも、たいていは「そうですね」と受け入れていました。自分が正しい判断をしているか確信が持てなかったので、編集者の専門知識を信じるしかありませんでした。

物語そのものについては、最も大きな意見の衝突がありました。その時は、どうしても譲れない部分があって、全力で説得を試みました。幸運なことに、編集者も議論に前向きで、何度も何度も修正を重ね、最終的にはお互いに満足できる素晴らしい作品に仕上がりました。

ですが、この完成形に至るまでの話をする前に、まず最初の段階に戻ってお話しします。

擬人化

編集プロセスの初期段階で、編集者は靴下を擬人化するというアイデアを提案してきました。つまり、靴下を物語のヒーローにするというのです。編集者が思い描いていたのは、クローゼットの下に何度も隠される靴下の物語でした。その2つの靴下は男の子にいたずらを仕掛けようと企み、そのうちの1つが突然姿を消し、男の子が「もう1つの靴下はどこに行ったんだ?」と悩むという展開でした。

さらに、靴下同士が会話を交わすシーンも提案されました。ですが、私はこのアイデアにどうしても賛成できませんでした。「靴下をどうやって共感できるキャラクターにするの?」と考えてしまったのです。どう頑張っても「靴下の人格」がイメージできませんでした。今でも、もし頼まれたとしても靴下を擬人化するのは難しいと思います!

謝罪

次に問題になったのは「謝罪」のシーンです。編集者は、男の子が靴下を無造作に放り投げるのは間違いだと気づき、靴下に謝罪するべきだと提案しました。彼女のバージョンでは、男の子が「ごめんね」と謝ると、靴下が魔法のように再び現れるという展開でした。

しかし、このアイデアにも私は苦戦しました。私はよく、自分の絵本のシーンを実際に演じてみて、子どもたちにどう伝わるかを確かめます。でも、「ごめんなさい、靴下さん」と謝るシーンを演じてみたら…正直、とてもぎこちなく感じました。子ども読者にも同じような気まずさを感じさせたくなかったので、謝罪シーンを避けるためにいくつかのプロット変更を提案しました。

理想の結末を見つけるまで

良い結末を書くのは本当に難しいものです。この物語でも例外ではありませんでした。編集者と何度もやり取りを繰り返し、いくつものアイデアを試しました。たくさんの提案と反論を経て、最終的に自分が誇れる結末を作ることができました。

学んだこと

振り返ってみると、編集者と意見が違うのは悪いことではないと感じています。むしろ、その意見の違いがより良いアイデアや強い物語につながることもあります。大事なのは、会話が建設的であることです。そして、最終的にお互いの意見が一致する形で作品を仕上げること。それさえできれば、きっと素晴らしい結果が待っています。

だから、もし同じような状況に直面したら、恐れずに自分の意見を伝えてみてください。ただし、相手の話にも耳を傾け、柔軟に対応することを忘れずに。素晴らしい作品は、そうしたコラボレーションから生まれるものです。

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